Drugs 2003; 63 (19): 1999-2010
Transdermal Buprenorphine
Hannah C. Evans and Stephanie E. Easthope Adis International Limited, Auckland, New Zealand
Contents
Abstract. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . 1999
1. Pharmacodynamic Profile . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2001
2. Pharmacokinetic Profile . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2002
3. Therapeutic Trials . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2003
4. Tolerability . . . . . . . . . . . . ... . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2006
5. Dosage and Administration . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2008
6. Transdermal Buprenorphine: Current Status . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2008
Abstract
▲ブプレノルフィン(レペタン)は低分子量、脂溶性、麻薬性鎮痛薬である。最近、72時間持続の3容量(35, 52.5, 70μg/h)で設計されたブプレノルフィンの経皮マトリクスパッチ製剤が利用できるようになった。
▲ある二重盲検プラセボコントロール無作為試験では、慢性痛を有する患者に最小限のレスキュー投与(舌下ブプレノルフィン0.2mg/日以下)を行った最低限の満足度を満たす鎮痛は、35, 52.5 70μg/h経皮ブプレノルフィン投与群の34-50%、プラセボ群の31%において達成された。
▲弱オピオイドかモルヒネに難治性の患者を含む治験では、ブプレノルフィン35μg/hと52.5μg/hで各36.6%、47.5%が最低限の満足度を満たす鎮痛を経験し、ブプレノルフィン舌下投与量が0.2mg/日以下であったのに対し、プラセボ群では16.2%であった(両 p=0.032)。
▲2つの治験で経皮ブプレノルフィン投与患者の50%以上で、ベースラインよりレスキュー投与必要量が減少した。更に、全患者でレスキュー投与が利用できたが、経皮ブプレノルフィン投与患者では除痛が大きく、疼痛強度がより減少し、無痛睡眠が長かった。
▲経皮ブプレノルフィンは一般に耐性に優れる。全身性の副作用はオピオイド治療に典型的なものか、基礎疾患に起因するものであった。
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慢性疼痛管理のガイドラインが近年より詳細に記されるようになったが、未だ慢性疼痛を有する多くの患者が不適切に管理され、不十分な除痛を経験している。癌性疼痛治療のWHOガイドラインは疼痛強度に応じた3段階の薬理学的ラダーを提唱している。軽度の疼痛には非オピオイド性鎮痛薬が推奨され、軽度~中等度の疼痛にはトラマドールなどの弱オピオイドを追加、中等度~重度の疼痛はモルヒネ、メタドン、フェンタニル、ブプレノルフィンなどの強オピオイドで治療されるべきである。より最近では、オピオイドは非悪性の原疾患による慢性疼痛治療にも用い始められている。慢性疼痛の治療オプションも、新たな投与形態の進展の結果改善されている。そのような進展の1つとして、経皮的な薬剤投与経路が導入され、非経口� �� ��経口投与と比べ様々な利点がある。まず、頻回の筋注に伴う苦痛や内服が気が進まないと言う事を避けられ、静脈注射よりも少ない労力で済む。次に、経皮的薬剤投与は投与料率調節によって合理的に血中濃度を一定にし、初めに通過する肝代謝や胃腸の吸収、患者の生体学的利用能の低下や多様に伴う問題を避けられる。さらに、経皮投与では投与回数を減らす事ができ、潜在的に患者コンプライアンスを改善し、薬剤投与部位を定期的に変えられ、局所的副作用への進展リスクを減らす事が出来る。徐放鎮痛薬は除痛指針に従う。文献によると、癌患者の除痛が乏しい理由の1つに、鎮痛薬処方が"定時"よりも"頓用"で投与される事がおおい事がある。さらに、WHOは慢性非癌性疼痛管理に"定時"を推奨している。経皮パッチは� �痛効果レベルに達する一定血中濃度を提供することでこの問題に対処している。ブプレノルフィンは非経口、舌下両者で利用でき、急性、慢性疼痛の治療に効果的な鎮痛薬である(以前のDrugsを参照)。ブプレノルフィンは中等度~重度の疼痛治療に適応があり、WHO鎮痛ラダーで2段階と3段階で議論があるものの、3段階目の鎮痛薬に分類される。最近、ブプレノルフィンの経皮マトリクスパッチ製剤(トランステック)が開発された。ブプレノルフィン経皮投与(TDS; 以降、経皮ブプレノルフィンとする)は3段階の容量で利用可能で、20, 30, 40mgのブプレノルフィン含有の各35, 52.5, 70μg/hの調整率でブプレノルフィンを放出するように設計され、1日量0.8, 1.2. 1.6mgに相当する。全パッチは貼付期間72時間で設計されている。本レビューでは慢性痛治療において、経皮的ブプレノルフィン投与の臨床関連データの総括を行う。
1. Pharmacodynamic Profile
ブプレノルフィンは脂溶性で水溶解可能、低分子量の合成麻薬であり、これらの特性によって組織透過性を可能にし、経皮投与に適合させる。様々な製剤で投与されるブプレノルフィンの薬理特性に関する記載は多く、以前のDrugsにおいてレビューを行った。ここでは経皮パッチを用いた研究による限られたデータに加えて、これらの特性の総括を行う。
Receptor-Binding Properties
●ブプレノルフィンは、中枢神経系、末梢組織のμオピオイド受容体の部分的アゴニストで、κ受容体のアンタゴニストでもあり、高親和性に両受容体に結合する。鎮痛効果はμアゴニストの活動の結果発現する。μ受容体の結合と解離は緩徐で、ゆえに、ブプレノルフィンの効果の発現は緩徐で、作用時間は長い。ブプレノルフィンの効果発現時間と作用時間は投与経路にも影響を受ける(section2参照)。
●ブプレノルフィンのオピオイド受容体への結合は、動物実験でベルカーブの量反応関係に従う傾向にあり、"低"容量では量に伴い効果が増加するが、高容量では増加しないか効果が減少する。ベル型反応は参加者と患者の研究で必ずしも根拠が示されるわけではないが、臨床的な鎮痛量を超えると発現するのかもしれない。例えば、オピオイド投与されているが身体依存のない参加者に1.32mgブプレノルフィン舌下を漸増したところ、鎮痛に用いる容量範囲では天井効果を認めなかった。
CNS Effects
●ブプレノルフィンは容量依存に鎮痛をもたらし、同量(重量)のモルヒネの約25.
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しびれと右の鼻孔の痛みと頬を焼く50倍の力価がある。腫瘍関連や術後の疼痛を有する患者に行われた様々な研究で、中等度~重度の疼痛の除痛のためのブプレノルフィン必要血中濃度は100~500pg/mlにあった。
●ブプレノルフィン治療の中止に伴い離脱症状が起こりうる。ブプレノルフィンに関する離脱症状は約2週間後にピークに達し、モルヒネ治療に伴う離脱症状よりも弱いようである。さらに、ブプレノルフィンの短期、長期治療後に進展する薬剤依存や薬剤耐性の可能性は、他のオピオイドよりも低い。293-SF-MOR細胞に行った試験管レベルの実験では10μmol/Lのフェンタニルと10μmol/Lのモルヒネは細胞表面μ受容体を各々35%、9%減らすのに対し、10μmol/Lのブプレノルフィンは10%増やす結果となった(pOther Effects
●経皮ブプレノルフィンの心血管系に対する影響は調べられていない。しかし、筋注、経口、舌下ブプレノルフィンは治験参加者の心拍数と血圧を減じる。ブプレノルフィン(0.15~0.6mg)筋注による心拍数減少はモルヒネ(5~12.5mg)筋注と同程度であった。血圧でなく心拍数の変化は、経口(1.4mg)ブプレノルフィン投与では用量依存であった。舌下ブプレノルフィン(0.4または0.8mg)は一回量の代償的増加を伴って心拍数の減少をもたらし、平均動脈圧の僅かな変化をもたらす。
●ブプレノルフィンに伴う呼吸抑制は頻繁ではなく、臨床的に重要となる事は稀である。しかしブプレノルフィン治療は重度の呼吸障害患者には適応外である(section5参照)。10名の重篤疾患患者において、静脈内ブプレノルフィン(0.2または0.4mg)投与は平均呼吸数を減らし、動脈血二酸化炭素濃度を増やすが、心拍数と動脈血酸素濃度、酸塩基平衡に有意な変化をもたらさなかった。治験参加者では、ブプレノルフィン筋注に伴う呼吸抑制は0.15~1.2mgの容量範囲で線形関係にあったが、臨床的に重要な変化は認めなかった。
●呼吸抑制の天井効果が高容量のブプレノルフィンで観察される。50名の女性の術後患者に行った高容量研究ではブプレノルフィン0.4~7.0mg静注後24時間の観察期間では呼吸抑制のエビデンスはなかった。オピオイドを投与され身体依存のないブプレノルフィン(1.32mg)舌下を受けている治験参加者において、呼吸抑制は8mg以上でプラトーに達する事が示された。
●他のμオピオイド受容体アゴニスト同様、ブプレノルフィンは用量依存性に縮瞳をもたらす。ボランティアに行われた単回貼付試験では、用量依存性の瞳孔径縮小が35, 52.5, 70μg/hパッチ貼付によって認められ、パッチ貼付後36時間から72時間で剥がずまで、瞳孔径の縮小が続いた。ボランティアに行われた複数貼付試験では、経皮パッチの交換で12時間までの瞳孔径の僅かな拡大を認めたが、次のパッチの交換まで一定であった。
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2. Pharmacokinetic Profile
ブプレノルフィンの非経口、経口投与の薬理特性については以前Drugsでレビューを行った。経皮的経路によるブプレノルフィン投与の薬理特性に関して出版されたデータは限られている。2つの無作為、非盲検試験が行われ、1つは単回貼付研究(n=24)(後に示す)、もう1つは複数貼付試験(n=54)(データをfile23に掲載、Mono-graph20に共に示す)であった。
Absorption and Distribution
●ブプレノルフィンの血中濃度は単回の35または70μg/hパッチ貼付後安定して上昇し、各21、11時間で最小治療効果濃度(100pg/mL; section1)に達する。その後、血中濃度は上昇を続け、60時間後に305と624pg/mLのピーク(Cmax)に達し、72時間の貼付終了まで100pg/mL以上を維持する。
●予想通り、Cmaxに至る時間は本交叉試験においては、0.3mgブプレノルフィン静注(0.41hours)よりも、経皮投与の方が極めて長い。しかし、各部位での血中濃度-時間曲線によって測定したブプレノルフィンの全身浸透は、静注よりもブプレノルフィン35,70μg/h経皮パッチの方が優れていた (mean AUC) [228, 43 040 and 5562 pg・h/mL]。
●ブプレルフィンの血中濃度とAUCはパッチ貼付回数が増えれば同時に増えて、3回目の貼付後安定状態に達するようである。複数貼付研究では、35μg/hのブプレノルフィン投与のボランティアにおいて、216時間の観察期間中、平均ブプレノルフィンCmax値は263.0~379.4pg/mLであった。52.5μg/hと70μg/hの同値は各332.1~528.7pg/mL、390.1~578.2pg/mLであった。安定状態に達するエビデンスは、2回目と3回目のパッチ貼付間のAUC増加が少ないことから分かる。
●経皮ブプレノルフィンの生態学的利用能は50%で、舌下投与と比較すると50-60%である。ブプレノルフィンの血中タンパク結合率は96%である。
Metabolism and Elimination
●肝臓において、ブプレノルフィンはグルクロン酸抱合を受けて、チトクロムp450(CYP)3A4に媒介され、N-ジアルキルブプレノルフィン(ノルブプレノルフィン)に酸化される。ブプレノルフィンは、小腸で加水分解を受けるグルクドニド結合代謝でも代謝され、肝内循環経由で再吸収される。
●ブプレノルフィンの半減期(t1/2β)は長い。単回貼付研究では、35、70μg/hのブプレノルフィンのt1/2βは各25.3と27.4時間で、対して0.324mg静注では8.47時間であった。複数貼付研究のt1/2βは35,52.5,70μg/hのパッチで各34.5,32.6,36.
更年期障害に対する肥満の影響8時間であった。ブプレノルフィンの2/3は便中に、1/3は尿中に排泄される。
Drug Interactions
●ブプレノルフィンはCYP3A4によって媒介される反応で代謝されるので、この酵素を阻害/促進する薬剤の同時曝露はブピバカインの作用を減弱/増強しうる。同時のMAO阻害薬、他のオピオイド、麻酔薬、睡眠薬、鎮静薬、抗うつ薬、精神病薬の投与はブピバカインのCNS抑制効果を増強しうる。同様に、アルコールはCNS効果を増強しうる。
3. Therapeutic Trials
Placebo-Controlled Studies
●経皮ブプレノルフィン治療患者の少なくとも1/3が2つの無作為試験で反応があった(figure2)。詳細は、弱オピオイドかモルヒネに難治の患者の33%以上に経皮ブプレノルフィン治療が反応し、本研究における35, 52.5μg/h治療群における反応者のパーセントはプラセボ群より統計的に有意に優れていた。しかし、反応増加は70μg/hパッチでは認めなかった(figure2)。これは本治療群の難治患者数に起因している。
●5日の助走期間に舌下ブプレノルフィンで満足な除痛が得られた患者のうち、34-50%が6日間の経皮ブプレノルフィン治療に用量依存性に反応した。プラセボ群との差異を認めたが、統計的な優位性までは至らなかった(figure2)。全3つの無作為試験からの結果のレトロスペクティブな群間分析によって治療反応は悪性関連疼痛患者と非悪性患者両方に認められたことが分かった。
●レスキュー治療(舌下ブプレノルフィン)の必要量は経費ブプレノルフィン治療を受けた患者で約50-70%ベースラインより減少した。5日間の助走期間で満足な除痛が得られた患者では舌下ブプレノルフィン摂取は治療有効群に関して、用量依存性に減少した(後に示す、figure3参照)。弱オピオイドかモルヒネで不適切に疼痛管理された患者では、追加経口オピオイド鎮痛薬の必要量は経皮ブプレノルフィンによって50%以上減った。治療有効群に関しては、レスキュー治療必要量の減少はプラセボ群において観察されたもの(8%;figure3)より有意に(p●レスキュー治療必要量はベースライン舌下ブプレノルフィン必要量とも関連があった。プラセボ群と経皮ブプレノルフィン35μg/hを比較した研究では、助走期間で舌下ブプレノルフィン0.4-0.8, 0.8-1.2, 1.2-1.6, 1.6mg投与患者において、経皮ブプレノルフィン治療期間のレスキュー治療必要量は各々0.2, 0.4, 0.6, 0.9mgであった。レスキュー治療必要量を経皮ブプレノルフィンパッチの一日浸透量(0.8mg)と組み合わせて考えると、体内に浸透したブプレノルフィン全量は助走期間の投与量と殆ど正確に等しい。
●全患者がレスキュー治療を利用できたにもかかわらず、経皮ブプレノルフィン投与患者はプラセボ群よりより良い除痛を経験する傾向があった。良好~完全な除痛を得られた患者は、初めと2回目の経皮ブプレノルフィン治療の間に各々13.2%, 8.6%まで上昇したのに対し、プラセボ群では20%, 11.4%減少した。15日間の治療を通じて、経皮ブプレノルフィン投与患者の40.0, 46.3%が良好~完全な除痛を得られたのに対し、プラセボ群では32.4%であった。研究中に患者本人が測定する平均除痛スコアにも反映している。平均口頭評価スコア(4段階評価[1-4: poor, satisfactory, good, complete])は、経皮ブプレノルフィン35, 52.5 70μg/hで各2.3, 2.4, 2.5であったのに対し、プラセボ群では1.9であった。
●ゼロか軽度の疼痛を有する患者割合の用量依存の増加が、15日研究の毎日と研究終了時で認められた。最終日には、経皮ブプレノルフィン35, 52.5 70μg/h投与患者の46.3, 60.0, 61.1%がゼロか軽度の疼痛を経験したのに対し、プラセボ群では40.5%であった。さらに、研究最終日の重度~超重度疼痛は経皮ブプレノルフィン患者の17%, 7.5%, 13.9%であったのに対し、プラセボ群では24.3%であった。
●6日か9日の治療期間で、一晩に6時間以上の無痛睡眠を報告した患者割合はブプレノルフィン投与患者で増加し(2.5, 11.9%ベースラインより増加)、プラセボ群では減少した(15.3% 5.9%の減少)。2つの治験の治療期間で、経皮ブプレノルフィン投与群の40.5%が疼痛により介入されない睡眠があったのに対し、プラセボ群では35%であった。
Long-Term Follow-Up Study
●3つのコントロール比較試験の445名のうち、239名(53.7%)が経過観察研究に引き継いだ(figure1)。全患者が35μg/h経皮ブプレノルフィンで治療されている経過観察中は、満足な除痛と良好/完全な除痛との差は各42.3%, 47.7%と評価された。さらに、経過観察研究での94.6%の患者が経皮ブプレノルフィンパッチが使いやすいと評価した。
4. Tolerability
●経皮ブプレノルフィンは耐性に優れ、臨床治験で報告される副作用は一般に軽度~中等度の重症度である。3つのプラセボ比較試験で最も多い副作用はfigure4に示す。無作為試験の分析により、副作用の65%が軽度~中等度の強度であり、24.4%が重度と評価された事が分かった(累積データ)。長期の経過観察研究では、症例の48.7%が軽度~中等度の副作用と評価し、重度は44%だった。バイタルとラボデータを測定した1つの無作為試験において、ブプレノルフィン治療群とプラセボ群の値に統計的な有意差はなかった。
●副作用は一般に、パッチ(局所皮膚症状)・ブプレルフィン(オピオイドに典型的な全身副作用)・基礎疾患に起因しうる。副作用は悪性腫瘍患者で非悪性腫瘍患者より報告が多い(46.6% vs 34.2%)。同様に、長期経過観察研究では、腫瘍患者において副作用の発生が多かったが(56.7% vs 50.4%)、悪性患者においてブプレノルフィンに起因する副作用は少なかった(19.4% vs 39.1%)。
●経皮ブプレノルフィンは副作用のために追跡できない割合が低かった。15日間の治療期間で、副作用のために追跡できない患者は10.8%だった。ブプレノルフィン35, 70μg/h投与患者の2.4%, 4.9%において皮膚紅潮と掻痒感のため中止になったのに対し、プラセボ群では2.6%だった。
Systemic Effects
●3つの無作為試験間で、経皮ブプレノルフィン35, 52.5, 70μg/h投与患者の38%, 50%, 44%が全身性の副作用があったのに対し、プラセボ投与群では37.7%だった。全体として、全身性副作用の63%は研究薬に関連すると判断され、副作用の大半はオピオイドに典型的なものであった(累積データ)。
●プラセボ比較試験で報告された最も多い全身性副作用は、胃腸か中枢神経系起源だった(figure4)。用量依存性の増加は胃腸障害(ブプレノルフィン投与群9.025.3% vs プラセボ投与群12.3%)、便秘(3.0-9.3% vs 4.1%)の全体割合で認めたが、嘔吐の発生率での増加はなかった(5.4-13.3% vs 4.1%)。嘔気、ふらつき、疲労感が、中枢神経系副作用の発症で最も多いが、ブプレノルフィン負荷群とプラセボ群の発症率に有意差はなかった。経皮ブプレノルフィン35, 52.5, 70μg/h投与群の嘔気、ふらつき、疲労感の発症率は各々16-18.3%, 4.9-10.7%, 3.0-8.5%の間であったのに対し、プラセボ投与群では10.7%, 4.9% 2.5%であった。
●累積分析では、経皮ブプレノルフィン投与患者の7.2-14.6%が全身に影響する副作用(下肢浮腫、発汗など)を経験したのに対し、プラセボ群では8.2%だった。尿路合併症(感染など)と呼吸器合併症(呼吸困難など)はブプレノルフィン投与群の各1.2,-6.7, 1.2-5.3%に発症したのに対し、プラセボ群では各4.1%, 2.5%だった。
●長期経過観察分析では、全身性副作用は45.6%で報告されたが、副作用の20%のみが研究薬剤に伴うものだった。同様にプラセボ比較試験では、最も頻繁な副作用は胃腸、中枢神経系関連であったが、発生率は低く報告され、嘔吐、便秘は各3.8%, 3.3%、嘔気、ふらつき、疲労感は各々8.8&, 4.2%, 2.5%だった。
Local Skin Events
●局所皮膚合併症(パッチ除去時に評価)は、本無作為試験において経皮パッチ使用患者(ブプレノルフィンまたはプラセボ)の約1/3に認められ、一般に一時的で軽度~中等度の重症度である。最も頻度の多い局所合併症は皮膚紅潮と掻痒感で(figure4)、ブプレノルフィン投与患者の各22.7%-28.0%, 22.0%-24.1%に発生し、プラセボ投与群の22.1%と18.9%に発生した(累積分析)。ブプレノルフィンの各用量群やプラセボ群の間でほぼ同様の発生率であることから、この合併症はブプレノルフィンよりもパッチそのものに関連する事が示唆される。
●長期経過観察研究における局所合併症の発生率は低く(10.5%)、皮膚紅潮(合併症の11.3%)、掻痒感(9.2%)、発疹(7.5%)、腫脹(1.3%)である。
5. Dosage and Administration
●経皮ブプレノルフィンパッチは中等度~重度の癌性疼痛と非オピオイド性鎮痛薬に不応性の重度の疼痛治療に適応がある。ブプレノルフィンパッチは3種の用量が利用できる。最も低用量のものは時間あたり35μg/hのブプレノルフィンを放出し、サイズは25cm2である。37.5cm2のパッチは52.
●製造元の推奨によると、オピオイド過敏性患者はまず最低用量のパッチを使用すべきである。以前にオピオイド治療を受けた事がある患者には、経皮ブプレノルフィンパッチの用量は以前の治療薬の強度と一日用量によって決定する。ブプレノルフィンの血中濃度は経皮経路では緩徐に上昇するため、以前の鎮痛薬は24時間継続すべきである。経皮ブプレノルフィンパッチの適切性は初めの貼付期間後に評価し、用量を別のパッチ強度への交換か同一強度のパッチを再度貼付することで、個別に調整しなければならない。同一強度の2つ以上のパッチは同時に貼付してはならない。
●経皮ブプレノルフィンは腎機能障害患者は適応外となる。しかし、ブプレノルフィン代謝は肝機能機能不全によって個々に影響を受けるので、これも観察する必要がある。体温の上昇は皮膚透過性を高めるので、発熱も観察する必要がある。ブプレノルフィンは重度呼吸不全患者、オピオイド依存症患者、重症筋無力症、振戦譫妄併発患者には適応外である(section1)。経皮ブプレノルフィンは授乳中や妊婦にも適応外となる。経皮ブプレノルフィンは年配の患者には用量の調節は必要とならない。18歳以下の患者には推奨されない。MAO阻害薬、他のオピオイド、麻酔薬、睡眠薬、鎮静薬、抗うつ薬、抗精神病薬、CYP3A4に影響を及ぼす薬剤の同時投与を受けるには細心の注意が必要である(section2)。
●経皮ブプレノルフィンパッチの除去後、ブプレノルフィン血中濃度は鎮痛薬効果を維持して次第に減少する(section2)。製造元によれば、追加オピオイドはブプレノルフィンパッチ除去後24時間以内に投与すべきでない。
6. Transdermal Buprenorphine:
Current Status
ブプレノルフィンの経皮マトリクスパッチ製剤は、麻薬性鎮痛薬に属するが、中等度~重度の癌性疼痛と非オピオイド性鎮痛薬に不応性の重度疼痛治療に適応がある。経皮ブプレノルフィンを投与されている慢性痛患者の1/3以上が最小のレスキュー治療薬必要量(舌下ブプレノルフィン0.2mg/day以下)で少なくとも満足の鎮痛が得られた。経皮ブプレノルフィンは、悪性/非悪性起源の慢性痛患者において、レスキュー治療薬の必要量とベースラインからの疼痛強度、除痛の提供、ベースラインからの無痛睡眠時間の増加ももたらす事が分かった。さらに、経皮ブプレノルフィンは、弱オピオイドやモルヒネに難治名重度~超重度の慢性痛患者に臨床的に効果がある事が示された。経皮ブプレノルフィンは通常耐性に優れ、一般に軽度~中等度� � �副作用と評価された。
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