[写真] 新婚旅行にフィジーに出掛けた時の写真です。夫は私の杖になってくれます。まだ、しっかりと歩くことが出来たので杖歩行です。
もう一つ。
それは 「筋ジストロフィー」 という病気を世間の方にもっと知って欲しいのです。少しでも、理解して頂きたいのです。そのことが、新薬開発のきっかけになれば…と切実に思うのです。
「筋ジストロフィー」 という病気を皆さんはご存知でしょうか。
【筋ジストロフィーとは】
筋ジストロフィーとは筋線維が破壊消失していく進行性の病気です。遺伝性のケースがしばしばあります。主な症状は筋力低下と筋萎縮ですが、症状の違いによっていくつかの臨床型に分類されています。
多くのタイプがあり病像はさまざまですが、一般的な特徴をあげると…
1. 乳幼児期から青年期に、歩行開始の遅延、起立・歩行の障害、上肢の挙上困難などで発症し徐々に進行する。
2. 腱反射は低下ないし消失する。
3. 血清CK値高値を示す。
などがあります。
ixprim鎮痛薬
私が筋ジストロフィーを発症したのは13歳です。
おかしな格好で洗濯物を干す私の姿を見て、疑問に思った母に大学病院に連れていかれました。両腕が胸の高さまでしか上がらないのです。けれど、特別にそのことを 「おかしなこと」 だと思わずに過ごしていました。
血液検査 (血清CK値高値) の結果ですぐに病名は告げられました。生まれて初めての「告知」です。
「あなたの病名は 『進行性筋ジストロフィー』 です。将来はおそらく、寝たきりの生活になるでしょう」
私が 「身体障害者」 として国から認められたのは15歳の時でした。
今から30年前の出来事です。その頃の 「筋ジストロフィー」 と言えば、「死」 に直結したイメージで、私は告知を受けた瞬間にあふれ出る涙を止めることは出来ませんでした。
思春期の少女に、そう淡々と残酷な事実を告げなければならない人間…それが医者なのだと、「どうして私が?」 という恨めしさで胸が締めつけられ、病院からの帰り道を人目も気にせず 「ヒッヒッ」 としゃくるようにして泣きながら駅まで歩いた光景が今でも鮮明に蘇ります。
(筆者注:現在、『顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー』 の患者さんは、寝たきりになる確率は低いとされています)
足に小さな赤い水ぶくれ
ゆっくりゆっくりと進行する病気。
ある日、これまでと変わらずに道を歩いていて、突然転ぶ。なぜ平らな道で転倒したのか、自分では全く分からない。しばらくして、ようやく気付くのです。「ああ、あの時の転倒が、更なる進行を意味するのだなぁ」 と。
痛みがあれば自分の身体の変化に気付き、対応も出来るでしょう。けれど、私たちの身体の変化はたいてい「何か起きてから」 思い知らされます。
顔面肩甲上腕型の私の場合、ある日、どんなに目を固くつぶってもシャンプーが目に入って痛くて仕方がないことに気付く。瞼をぎゅっと閉じる力が弱くなったのです。
これまでは重いと感じなかった食器を持つ手に力が入らない。そんな日常から、病気の進行を知らされます。
* * *
トップ脳内の頭痛
色々な「型」のある筋ジストロフィー。
筋肉の使い方に対して、対応の仕方に苦慮します。「筋疾患」 なので、筋力トレーニングはもってのほかです。私たちは、いったん壊れた筋肉が再生するのにかなりの時間を要します。いえ、再生出来ないと言ってもいいかもしれません。筋肉の使い過ぎは筋肉を痛め、動かずにいると筋力が低下する…じゃあ、一体どうすればいいの? と、時々、出口の見えない迷路に迷い込みます。
これは神経内科の医師にも分からないこと。「あなた自身の身体で判断して下さい」 と言われることです。神様にしか分からない病気。
けれども。
「com-pass 女性筋疾患患者の会」 を立ち上げてから、皆さんに寄せて頂く言葉。
「同じような思いを共感できる仲間に出会えた事に感謝します」
私にとって最高の言葉です。何より、私自身が 「一人」 だったのですから。筋ジストロフィーという病気において。
ある会員さんに頂いたメールにあった言葉です。
「ブログで、コメントも含め、思わず 『私もそう!』 と言いそうになるぐらい、同じような状況や悩みがよくあります。今まで、あまりなかったですよね。全国にはこんなにいるんだ・・・と、心強くもなれます。『ホッと出来る場所』 はすでにここにあるのかもしれません(^_^)v」
私の願いでした。こうした、患者会を作ること。
そうして、何よりモットーは。
「敷居が高くなく、誰でも気軽に集まることの出来る場所」
ただでさえ情報の少ない 「女性・筋疾患の患者さん」 たち。
一人で悩みを抱えずに、ざっくばらんに色んなことを話せる場所。
この会を立ち上げたことで、私は誤解していた筋ジストロフィーの情報にも気付かされました。
もし、一人で悩んでいる筋疾患の方がいらしたら…。
筋ジストロフィーの患者同士だからこそ。患者にしか分からない疑問、問題点、悩みなど。
どうぞ、一緒に話し合いましょう。
ここは女性だけの場所。気楽で気軽で、温かな場所。
まだ生まれたての会ですけれど、これからどうぞ宜しくお願い致します。
野上奈津
[写真] 私の一番の趣味は海外を旅すること。贅沢なようですが、身体が動くうちに体験出来ることは体験したい! との思いから。夫は海外は苦手です。けれど、「奈津が自分の足で歩ける内に」 と付き合ってくれます。
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